触れられないけど、いいですか?
それなのに、翔が結婚することになった。しかも、うちのホテルで。

翔ほどの御曹司なら、いつかそういうこともあるかもしれないとは思ってた。
だから、ずっとお父様にお願いしていたのに。〝翔と結婚したい〟って。
お父様の反応もまんざらではなかったから、期待していた。
家族間の関係も良好だし、私と翔が結婚すれば両家の会社やグループにも好影響のはずだ。
だから、きっと私は選ばれる。翔の奥様になれる。
そう思っていたのに、選ばれたのは私じゃない女だった。
どこの会社の娘なのだろう。
大企業なのだろうけれど、うちのホテルより経済力が大きい企業なのだろうか。
そうは思えないから、腹立たしい。

ううん、それ以上に悔しいのは。


その子との結婚は、翔の強い希望だと、だから私とは結婚出来ないのだと、お父様から説明を受けたことだ。


どうして?
今まで、誰のことも好きにならなかったのに。一番側にいた私のことも好きになってはくれなかったのに。

なのに、どうしてその女を選んだの?

どんな女かは気になったけれど、それを知ったところで私の気持ちは変わらないだろうとは思っていた。


だから、最初から邪魔しようと思っていた。
< 188 / 206 >

この作品をシェア

pagetop