触れられないけど、いいですか?
「所詮は政略結婚だとか、さくらが陰でそんなことをコソコソ言う人じゃないのは分かってる。ただ……」
「ただ?」
「さっきの、霜月さん。やっぱりさくらと結構仲良いんじゃない? 俺の知らないところでさくらと仲が良い異性がいるっていうのは、どうしても心配になるな」
心配だなんて……凄く大事にされている感じがして、とても嬉しくなるけれど、
「は、話しやすいのは確かだけど、そんなんじゃないよ。前にも言ったけど、霜月さんの顔立ちが女の子に見えるから、他の男性に比べたら接しやすいっていうだけ」
と説明する。
だけど……。
「……そうかな?」
「え?」
「さくらが言うほど、そんなに女の子に似てるかな? 確かに中性的な顔立ちだとは思うけど、俺には普通に男にしか見えなかったよ」
翔君に真顔でそう言われ、よくよく思い浮かべれば確かに……女の子に見える、とまでは言い過ぎかもしれないなと思った。
「……初めて会った時、女の子の格好してたから今でも女の子みたいに見えるのかも」
あの日のことを思い出しながら、翔君にそう伝える。
第一印象が〝可愛らしい女の子〟だったから、その印象を今も引きずっているのかなと思ったのだ。
「え、女の子の格好? まさかオフィスで?」
「オフィスじゃないよ。初めて会ったのは電車だった」
「え? 電車? さくら、電車に乗るのは怖いって言ってたのにどうして……」
「あ……」
聞かれて、ハッとした。
心配させないように電車に乗ったことは翔君には黙っていようとしていたのに、つい喋ってしまった。
もう誤魔化せそうにもなく、私は彼に、電車に乗った理由を話した。
翔君とちゃんとした夫婦になるために、男性恐怖症を克服しようと思ったという理由を。
「ただ?」
「さっきの、霜月さん。やっぱりさくらと結構仲良いんじゃない? 俺の知らないところでさくらと仲が良い異性がいるっていうのは、どうしても心配になるな」
心配だなんて……凄く大事にされている感じがして、とても嬉しくなるけれど、
「は、話しやすいのは確かだけど、そんなんじゃないよ。前にも言ったけど、霜月さんの顔立ちが女の子に見えるから、他の男性に比べたら接しやすいっていうだけ」
と説明する。
だけど……。
「……そうかな?」
「え?」
「さくらが言うほど、そんなに女の子に似てるかな? 確かに中性的な顔立ちだとは思うけど、俺には普通に男にしか見えなかったよ」
翔君に真顔でそう言われ、よくよく思い浮かべれば確かに……女の子に見える、とまでは言い過ぎかもしれないなと思った。
「……初めて会った時、女の子の格好してたから今でも女の子みたいに見えるのかも」
あの日のことを思い出しながら、翔君にそう伝える。
第一印象が〝可愛らしい女の子〟だったから、その印象を今も引きずっているのかなと思ったのだ。
「え、女の子の格好? まさかオフィスで?」
「オフィスじゃないよ。初めて会ったのは電車だった」
「え? 電車? さくら、電車に乗るのは怖いって言ってたのにどうして……」
「あ……」
聞かれて、ハッとした。
心配させないように電車に乗ったことは翔君には黙っていようとしていたのに、つい喋ってしまった。
もう誤魔化せそうにもなく、私は彼に、電車に乗った理由を話した。
翔君とちゃんとした夫婦になるために、男性恐怖症を克服しようと思ったという理由を。