触れられないけど、いいですか?

彼の言う通り、気温的にはそこまで寒くはない。それどころか、繋いだ左手から体温がどんどん上昇してくるのを感じる。

こんなに恥ずかしがっているのは私だけ?
そう思い、隣を歩く翔君をチラッと見上げると、不意に目が合う。
彼はにっこりと明るく微笑んできて……その優しい表情に、私はまたしても胸がドキドキし、身体には更に熱がこもる。


少し歩いた先にベンチがあり、二人でそこに腰掛ける。

公園の入り口付近にはちらほらと人の気配があったけれど、今この付近には私達以外に人影は見当たらない。


「誰もいないから、何でも話して」


突然、翔君が私にそんなことを言ってきた。


「え……?」

「さっき電話で誘ってくれた時、少しだけ声が暗かったから。今もね。笑ってるけど、何かに悩んでいるような表示してるよ」


……心の内を全て見透かされていて驚く。

やっぱり、翔君は今日もエスパーだ。


だけど今日は、何も言わなくても私の気持ちを分かってくれているそれが嬉しかったりする。

私は、自分の気持ちを相手に上手に伝えるのは苦手だ。
自分のことを誰かに分かってもらう必要も、特別ないように思っていた。

だけど、翔君には分かってもらいたい。
自分の気持ちの全てを。
分かってもらいたいから、伝えたい。

そう思って、今日ここへ呼び出した。

彼に男性恐怖症の件を打ち明けたこの場所でなら、全部正直に話せる気がしてーー。
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