触れられないけど、いいですか？
「それは勿論、さくらのことが好きだから」


翔君は、微塵も照れる様子なくそう伝えてくれる。


彼のストレートな愛の言葉は、いつも通り凄く嬉しいのだけれど……今はつい、彼から視線を逸らしてしまった。


「さくら？」

「……理由を知りたい」

「え？」

逸らした目をもう一度、ゆっくりと彼に合わせる。


「……翔君が私のことを好きって言ってくれるの、凄く嬉しいよ。疑ってる訳でもない。だけど、もっと信じたいの。自分に自信がないから、ちゃんと胸を張って〝私は翔君と結婚するんだ〟って伝えたいの」


……ちゃんと言えた。私の気持ち、正確に伝わったよね？


だけど翔君は、頬をぽりぽりと掻いて何だか困った表情。
私の質問に、すぐに答えてくれる様子もない。


「しょ、翔君？」

「あっ、ごめん。黙ったら不安になるよね」


彼はそう言って、私を安心させる為なのか明るく笑う。


そして、観念したかのようにゆっくりと話し始めてくれる……。



「さくらを好きになった理由、いつか話すって言っていたのに伝えてなくてごめん。隠すつもりはなかったんだ。だけど、何だか気恥ずかしくて」


恥ずかしい？ いつも直球過ぎる位に愛を伝えてくれるのに？
どういうことなのだろうと、私はじっと彼を見つめる。
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