兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
私は、泣きながら歩いていた。



優しかった誠也に、あんなことをされたのも……

自分の口から、お兄ちゃんの名前がでたことも……

誠也に、冷たい声で怒鳴られたことも……

何もかもがショックだった。



ぬぐってもぬぐっても、またすぐに涙がこぼれ落ちる。



私は、誠也を傷つけたかった訳じゃない。



誠也には、元気になって心から笑ってほしかった。



だけど、誠也とあんなことはできない。



この感情が、愛情ではなく同情だと言うのなら……

本当にそうなのかもしれない。
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