兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
「ただいま……」



制服を着たお兄ちゃんが帰ってきたけど、私は返事をしなかった。



「美衣、何読んでんの?
お前、東京行きたいの?」



「私、誠也と東京に行く。
今度の連休に、一泊二日で行ってくる」



後ろからのぞきこんできたお兄ちゃんに、私は振り返らずに答えた。



「……は?お前何言ってんだよ。
泊まりはやめとけよ」



「お兄ちゃんには関係ないでしょ……
私は、誠也と東京に行きたいの」



「お前、いい加減にしろよ。
そんなの親が許す訳ないだろ」



私がガイドブックを閉じて立ち上がろうとした時、お母さんが帰ってきた。
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