僕と彼女の時間

 美味しいワインと料理と……結里の笑顔。こんな日が来るとは思わなかった。

「速水君、もうこんな時間よ。奥さん、待っているんじゃないの?」

「そんな面倒なもの、いないよ。君の方こそ、誰か待っているんじゃないのか?」

「私なんか、もらってくれる人なんていないわよ」

「ところで、まだ聞いてないよ。プロポーズの返事。十五年も待ってるのに。いい加減、返事を聞かせてくれないか?」

「だって速水君、さっき時効だって……」

「時効なのは僕の前から勝手に居なくなった事だけだよ。プロポーズは、まだ有効だから」

 結里のキレイな瞳から涙が零れた。



 若かった二人に与えられた時間も……。

 奪われた十五年間も……。

 これから僕たちに与えられる時間も……。

 すべて愛して生きていこうと決意していた。

 結里と一緒に。

 今度こそ何があっても離さない。



  ~ 完 ~


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