俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「結婚の理由や経緯を周囲に知らしめるのには手っ取り早いと思っただけだ。下手に詮索されて、妙な噂を流されたら元も子もないからな」

まるで事務処理でも伝えるかのような口調。


「そう、なの。確かに今日は皆、副社長の結婚話で持ち切りだった」

采斗さんが話す内容は間違っていないし、不自然ではない。

元々この結婚を公表すると言い切っていたのだから。


周囲に変な誤解を与えないようにするのは当然だ。

わかっているのに、心がヒリヒリする。


胸の奥から込み上げる、このもどかしくてモヤモヤした気持ちはなに?


「だったら成功だな」

成功?

その台詞に心がズキンと鈍く痛んだ。


まるで商談かなにかのように聞こえてしまうのは私の気にしすぎだろうか?

あのネットニュースの言葉はやはりすべて演技だったの? 

偽りだったの?


「わ、私、やり残した仕事があるから」

意気地のない私は、すぐに逃げ道を探してしまう。


「無理するなよ。如月がきつい調子で問題提起するのはやる気になっている証拠だし、お前にはずいぶん興味をもっていたからな」

「……ありがとう」

それだけを口にするのが精一杯だった。


お互いを分かり合っているような口調が胸に鋭く刺さる。
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