俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「お疲れ様、道木さん」

プレゼンテーションが行われていた会議室を後にした時、如月さんに声をかけられた。


「お疲れ様です」

「とてもよかったわよ」

ふわりと口元を緩めてチーフが私を褒めてくれた。


「ありがとうございます。でも、いただいた質問にうまく返答できずご迷惑をおかけしました」

「部下をフォローするのは上司の役目よ。今日のあなたはよく頑張ったわ」

チーフの温かな心遣いに胸が詰まる。

頭を下げると、鼻の奥がツンとした。


「結果はわからないけれど、最後まで一緒にやり遂げましょう」

顔を上げた私の目に映るのは魅力的な上司の姿。

こんなにも素敵な人がライバルだなんて、勝てるわけがない。


「私はこれから副社長と少し話があるから、先に会社に戻ってちょうだい」

「は、はい」

カツンとヒール音を響かせて踵を返す如月さん。

凛とした後ろ姿が胸に痛い。


「如月さん」


その時、私の背後から男性の低い声が響いた。

チーフの足が止まる。


私が後ろを振り返るより早く、長身の男性が私を追い越した。

コツ、と廊下に革靴の音が響く。


「……藤堂、副社長」


振り返り、男性と対峙するチーフの顔に困惑の色が浮かぶ。


どうして競合相手の副社長が如月さんを呼び止めるの?


よくわからない展開に首を傾げる。
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