俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
週末、気分転換と用事を済ませるために買い物に出かけた。


再来週、学生時代の友人の結婚式に出席する。

ドレスは準備できているのだが、靴がまだ見つかっていない。

こういう時頼りになる雛乃は今日、葎くんとデートだ。

そのためひとりで靴探しにデパートへ向かう。


今日は朝から気温も高い。

少し歩いただけで額に汗が滲む。

さらに店内の人の多さに酔いそうになる。

それでもなんとかライムイエロー色のドレスに似合う色のパンプスを探し、試し履きを繰り返して、やっと気に入る靴を見つけた。


いい買い物ができたという高揚感で、ほんの少し気分の悪さが改善されていた。

そのまま一階フロアに降りると、展示されていた雨傘が目に入る。

色とりどりの傘に目移りしていると、背後から声をかけられた。


「……あら、あなた……?」

振り返ると、細い腕に幾つもの紙袋を抱えたいつかの老婦人が立っていた。

「まあ、やっぱり。偶然ね、本当にご縁があるわ」

「こんにちは、お買い物ですか?」

「ええ、そうなの。久しぶりにデパートに来たら楽しくなってしまって。そうだわ、お世話になったのに、名乗っていなかったわよね。私、日野原百合子(ゆりこ)と言うの」

「いえ、お世話だなんてとんでもないです。道木詠菜と申します」

「可愛らしいお名前ね。詠菜さんとお呼びしても?」

「はい、もちろんです」

「私のことは百合子と呼んでちょうだい」

「でも……」

初対面ではないにしても突然の気安い呼び方に躊躇う。

すると、堅苦しいのは嫌いなの、と品の良い老婦人は眦を下げる。
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