俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「詠菜さんもお買い物?」

「はい。再来週、友人の結婚式があるので靴を買いにきたんです」

「それはおめでたいお話ね。素敵な靴は見つかった?」

「見つかりました」

返答して紙袋を掲げるとよかったわ、と優しく言われた。


「ご友人の結婚式場はこの辺り?」

「はい、湾岸エリアに新しくオープンしたホテルです」

「そうなの、素敵ねえ」

「私も行ったことがないので楽しみなんです。百合子さん、あの、荷物をよろしければお持ちします」

老婦人の腕に紙袋が食い込んでいて、痛々しい様子に思わず申し出る。


「大丈夫よ、あなたも荷物があるんだから。それにまだ買い物の途中でしょ? 引き留めてしまってごめんなさい。姿を見かけて思わず声をかけてしまって」

「いいえ、特に予定があるわけじゃないんです。荷物も少ないですし……」

「でも悪いわ。これから孫が車で迎えに来てくれるのよ。ちょうどこの近くに仕事で立ち寄っていたらしくて」

「それでしたらお孫さんがいらっしゃるまでお持ちします」

申し訳ないわ、と何度も遠慮する百合子さんから紙袋を受けとる。

私は紙袋ひとつしかないし、百合子さんの細い腕にこの量は多すぎる。
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