俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「詠菜? その人って……」
戸惑う友香の声に、ハッと我に返る。
「ええっと、この人は……」
「詠菜のご友人ですか? 失礼しました。婚約者の日野原と申します」
「婚約者!? え、でも今、副社長って言ってなかった?」
「あ、あの私の勤務先の副社長で……」
「詠菜の勤務先って……日野原飲料の!?」
信じられない、といった様相を浮かべ、言葉をなくす友人。
そのすぐ近くで孝也がこちらを睨みつける。
「本当なのか、詠菜?」
「え、あの」
「初めまして、藤堂商事の越智と申します。御社にはいつもお世話になっております。失礼ながらそのようなお話は一度も耳にした記憶がないのですが、おふたりの関係は正式なものでしょうか」
先ほどまでとは一転した、丁寧な口調で副社長と対峙する孝也。
その声には明らかに不信感が滲んでいる。
「こちらこそいつもお世話になっております。もちろん詠菜は私の大切な婚約者です。最近やっと想いを通じ合わせたところで、まだ正式な発表の日程などは決まっていないんですよ。ああ、もしや越智さんは彼女の過去の恋人ですか?」
取引先相手に不躾とも言える孝也の質問に落ち着いて返答する副社長。
“過去の”という部分が癪に障ったのか孝也の表情が強張る。
「詠菜、本当に婚約したのか?」
咄嗟に傍らの副社長を見上げると、普段と変わらない雰囲気を纏っている。
ただ私を見つめ返す目には、初めて見る熱がこもっていた。
ゴクリと息を呑んで、孝也に向き直る。
戸惑う友香の声に、ハッと我に返る。
「ええっと、この人は……」
「詠菜のご友人ですか? 失礼しました。婚約者の日野原と申します」
「婚約者!? え、でも今、副社長って言ってなかった?」
「あ、あの私の勤務先の副社長で……」
「詠菜の勤務先って……日野原飲料の!?」
信じられない、といった様相を浮かべ、言葉をなくす友人。
そのすぐ近くで孝也がこちらを睨みつける。
「本当なのか、詠菜?」
「え、あの」
「初めまして、藤堂商事の越智と申します。御社にはいつもお世話になっております。失礼ながらそのようなお話は一度も耳にした記憶がないのですが、おふたりの関係は正式なものでしょうか」
先ほどまでとは一転した、丁寧な口調で副社長と対峙する孝也。
その声には明らかに不信感が滲んでいる。
「こちらこそいつもお世話になっております。もちろん詠菜は私の大切な婚約者です。最近やっと想いを通じ合わせたところで、まだ正式な発表の日程などは決まっていないんですよ。ああ、もしや越智さんは彼女の過去の恋人ですか?」
取引先相手に不躾とも言える孝也の質問に落ち着いて返答する副社長。
“過去の”という部分が癪に障ったのか孝也の表情が強張る。
「詠菜、本当に婚約したのか?」
咄嗟に傍らの副社長を見上げると、普段と変わらない雰囲気を纏っている。
ただ私を見つめ返す目には、初めて見る熱がこもっていた。
ゴクリと息を呑んで、孝也に向き直る。