堕天の翼
第5章 ‐拉 致‐
「…あ〜、どうしょ…っ」

入浴を終え…、鏡の前で…入浴後の化粧水などのメンテナンスをしている瑞希…

少しずつ…、現実味を帯びてきていた…。。少しずつ、頬が紅潮してくる…

その頬に触れながら…、熱でもあるのではないか…と思うくらい、熱さを感じてきていた…

心拍数も、既に…かなりの速さだった…

「……っ」
《成宮くん、家を出てきた…って、ことだから…

思わず…、【ウチに来ても】…って言っちゃたけど…

ほんとに良かったの…?

コレって、つまり…アレだよ…》

妙な妄想をしてしまっている瑞希は、慌てて首を左右に振り…

「…普通にしよ…っ!」


部屋を出た瑞希…、悠は、1LDKの瑞希の部屋のベッドに寄りかかりながら…今日、購入していた本を読んでいた…


彼がまだ…、部屋にいたことに…一瞬、安心した…

何処かで…
また、居なくなってしまっていたら…と、思っていたのだ

悠は、瑞希の視線に気づき…、ニコっと微笑む…。。その笑顔に、瑞希は、悠のすぐ側まで行き、隣に座る…

「読むの、早い…。。面白い?」

そぅ、悠の読んでいる本を覗き込もうとする…悠は、既に…半分近く…は、読み進めているようだった…

「内容、知りたい? 話してもいい? あのさ…」

「もー、ダメだってば。」

両耳を塞ぐ…瑞希の手を、悠は掴み…その耳から離そうとする…

その、子どものように…じゃれ合うことも、新鮮さを感じていた…

瑞希にとっては…、初めて異性として付き合うに至ることとなった相手なのだから…

が、悠は、突然…瑞希の身体を抱き寄せ…、優しく…その髪を撫でながら…

「ヤバい…、風呂上がりの鷺森さん、見てたら…緊張してきた…」

そぅ、頭の上から聴こえた悠の声に…、瑞希はパッと顔をあげる…

「っえ? 緊張してるの?」

「そりゃ…、好きな子と、こういう感じでいるのは…、初めてだし…緊張だってするよ」

と、微かに視線を逸らしながら…言った悠に、瑞希は、吹き出し…笑い声をあげる…

「…笑うとこ、それ?」

「だって、そんな素振り…見せないから…」

悠も、この状況に緊張していることを知り…、瑞希の緊張感も少しは和らいだ…

そ…っと、頭や髪に触れる…その手…。。その真摯な眼差しに、瑞希の笑いも止まった…

その手が、頬に触れ…顎先に触れ…、ゆっくりと瞼を閉じた…

重なり合った唇…

微かに、胸元に温もりが感じられる…

その唇が…そっと、離れ…。。尚も優しい眼差し…

「…いいの…」

その言葉が、何を意味するのか…分かっていた…。。瑞希は、頷き返した…

何度も…、口付けを交わし…

その内、側にあったベッドへと倒れ込んだ…

瑞希の身体の上に覆いかぶさるようになった悠は、なおもキスの雨を降らせていく…。。その唇は頬や首筋に至るまで…唇を這わせていった…

「…ん…っ」
《…恥ずかしいょ…っ

どうしょ…、私…、初めてなのに…っ》

頬を赤らめながら…、身をよじらせる瑞希…

悠は、瑞希の頬に触れ…自分の方に向かせ…

「…瑞希…っ、」

耳元で囁かれた…自分の名に、瑞希は悠の方を見つめる…。。初めて、呼ばれた…その名に、瑞希は嬉しかった…

瑞希のその潤んだ瞳に、悠は…

「…可愛い…」

そぅ、笑いかける…と、今度は瑞希の唇を塞ぎ、舌先を滑り込ませて来た…

柔らかな指先で、瑞希の頬に触れ…、瑞希の衣服のボタンを外していく…

露わになった胸元の白さに…、自分の跡を残していく…

瑞希は、少しずつ乱されていく呼吸に、悠の腕にしがみついていた…

「…っ成宮くん…っ。やっぱり、恥ずかしい…っ」

やっとのこと…で、それだけ言えた瑞希…

両手で、胸元を隠そうとする…が、その手を難なく…捕まれてしまう…

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