もういいかい?
『ハフハフ』と、熱さを我慢しながら食べている。

「おじちゃん、美味しい!」

「ありがとう。」

飾らない、サバサバした彼女は魅力的だと

保護者の間でも評判だけど

それはホンの一面だったんだと………

この無邪気な顔を見ていたら感じる。

そうだよなぁ。

人間なんだもん

泣き虫だったり、怖がりだったりと

色々な面があって不思議はないのに、ついイメージをつけてしまう。

だから彼女は、このイメージに縛られて………

無理をしてきたんだろうな。

相田みつおのような台詞を浮かべて

みぃが美味しそうに頬張る姿を眺めていた。

「お兄ちゃん達は、付き合って長いの?」

「えっ!付き合ってるように見えます??」

「そりゃあ、こんな汚い店に
狙った女の子は連れて来んじゃろう。
心を許しとる彼女じゃけぇ連れて来とるんじゃろう。
それに、美味しそうに食べとるお姉ちゃんの事を
優しぃ目で見よったでぇ。」

おじちゃんのからかいに赤くなる彼女が可愛い。

彼氏彼女に見られたことが嬉しかったのか

「私、スゴく気が強くて………可愛い気がないんです。
だから、こんな彼女だと彼が周りに笑われるかな?って思って……。
自信がなかったんです。
だから、『付き合ってる』って言ってもらえて嬉しかった。」

「お兄ちゃん、彼女を不安にさせたらいかんで。
なんじゃったかいのぅ………………。
えっと…………………。
おぉ!そうじゃ。
『草食系』じゃあ!
お兄ちゃん、草食系じゃあダメでぇ!
ビシッと守らんと!!
今日はビシッと決めんさい!!」

60歳くらいのおじちゃんに

『草食系』を語られるとは……………。

ビシッと決めれるものなら決めたいよ。

でも…………

みぃが周りに内緒にしたい理由が分かったのは、大収穫だ。

まさか、僕が笑われるからとは…………。

これなら説得したら、堂々と付き合えるかな?
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