犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
でもそれにはやっぱりタダならぬ努力があったと聞く。
研究部の方との試行錯誤に提携企業への交渉まで浅香自らも色々な場に足を踏み入れて、頑張ってたらしい。
まぁ本人、かなりサラッと涼しい顔でこなしていたからそんな大変そうには見えなかったけれど、やっぱりそれは浅香の要領の良さのおかげだったんだろうと思う。
そんなことを考えていると、あーやっぱり好きだなってしみじみと実感してしまう自分に呆れの気持ちが止まらない。
時間が経つにつれて、浅香への想いも無くなってしまえばいいのにと。そうすれば普通に話せるようになるかもしれないのに。と心は願っているのに、ひとつも言うことを聞いてくれないのだ。
そればかりか、日に日に浅香の良さばかりが目についてやっぱり好きだと思い知らされる。
あの普通に一緒に飲んだり、出かけたりしていた時期は相当な贅沢だったんじゃないかとさえ思えてくるほどだ。