犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
「ね、とびきり素敵な女の格好させようとしたのって、浅香の彼女役するため?」
なんとかこの変な感じと少しのドキドキ感を抑えるために、いつもの調子に戻そうと浅香に話しかける。
「おー。よく分かったな。
俺に釣り合う女はとびきり素敵じゃねぇとな?
信憑性ねぇじゃん?」
よくもまぁ自信満々にそんな言葉が言えるものね、とは思っても、
そんな言葉を発してもイタくならない程のルックスを兼ね備えてる浅香に文句は言えない。
「でも、なんか悔しい。それ。」
悔しがる私の言葉を聞いて、ニッとわらって余裕をかましている浅香が「まぁでも」と言葉を続ける。
「まぁでも?」
「まぁでも、それより守屋のとびきり素敵な女の格好が見てみたかったってのが本当の理由だけど」
なっ!
こ、こいつ、また私をバカにして〜〜!!
適当な事を言って私の気持ちが波打つのを楽しんでるって心では分かってるつもり.......
でも、なぜかドキドキして素直に嬉しい自分もいて、なんか気持ちがぐっちゃぐちゃだ。
「ま、今日は残念ながら見えなかったし、また今度リベンジだな。
次はスカート履いてこいよ?思いっきり短いのでも、俺は大歓迎」
そんな女子を喜ばせる言葉をつらつらと言って、またこんな休日の過ごし方を望んでるようなニュアンスを含める浅香はズルい。
この心臓のドキドキが浅香に伝わるのは悔しいし、どうせ適当に言ってるだけなんだから流さなきゃ。
と思っても上手く、感情が処理できない今日の私は、どうかしてる。
こんな気持ちが顔に出てないか心配になった私は、目の前のコーヒーを飲んでカップで顔を隠すことにした。