犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



とはいえ、飲み続けるとコーヒーなんてすぐになくなってしまう。


浅香もコーヒーを飲み終えたらしく、私たちの身体の疲労も少し回復してきたところで、彼がひょっと立ち上がった。



「よし。やっと仕事終わった。
これから昼飯食って、やっと守屋と本物のデートができる」


2つのコーヒーカップが乗ったお盆をすっと返却口に返すと、「じゃ、行くか」と私の手を取って優しく微笑んだ。


デ、デート?これから?
え、そんなの聞いてないんですけど...。


って今日のスケジュールの話は確かに全て聞いていないけど。


しかも、どさくさに紛れて手なんか繋いじゃってるし。
振りほどこうと手を振っても全く離れる気配がない。


「ダメ。デートだから。
今日はこのまま。な?」


優しい顔でそんなことを言われてしまったら、振りほどく気も消失する。
しかも、それほど嫌じゃない自分がいるのも我ながら意外だ。


ほんと、今日の私はどうしちゃったんだろう...。


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