彼の溺愛はわかりづらい。


そして、どこまでもテキトーな山センによるHRが終わって、ボーッとしていると、いつの間にやらしぃが私の席までやって来た。

…しぃにしては珍しい。いつも私がしぃのところに行く方なのに。
何だ、何なんだ。天変地異の前触れか!?



「ね、琴」

「…しぃ、珍しいじゃん」

「琴、その席でよかったね」



いや、無視か。無視。
私の話はどうでもいいってか。あーそうですか。(言ってない)

…ってか、この席のどこがいいの?

比較的前の方だし、しぃとは離れるし…。
いいとこなんて…窓際ってことぐらい?

あれ、しぃ、そんなに窓際がよかったの?



「…しぃ、代わろうか?窓際の席」

「は?なんでそうなんの?そもそも嫌に決まってんじゃん。日焼けするし」



いやいやいや。

じゃあ他にここの席のどこがいいの、マジで。



「…あんた、隣の席のヤツ、見た?」

「見てないけど」

「だろうね」



…わかってんなら最初から聞くなよ、しぃ!

なんて、口が裂けても言えない。ボッコボコにされる。




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