彼の溺愛はわかりづらい。


「しぃは何番だった~?」

「んーと…あ、19番」

「離れた~!」



廊下側のしぃと、窓際の私。見事に反対だ。



「…山セン、仕組んだのかな」

「んなわけないでしょ。山センさっき、「適当にみんな引いてけ~。順番とかどーでもいいから全員引け~」って、言ってたじゃん。それに寝てるし、今」

「ほんとだ」



……いや、寝てんじゃねぇよ、山セン!!
そーやって寝てる間の分の給料ももらってんだろ!!寝るな!!

…と、声に出してやりたいが、言ったら一発で山センは起き、私のスクールライフが激しくズタボロにされる未来が見える。よし、やめよう。



「あ、ほら。みんなもう机移動してるよ?琴もそろそろ移動させな?」

「…ほーい」



ドライなしぃに促され、私は渋々机を運ぶ。

…しぃとは見事すぎるくらい見事に逆だし、誰か近くに仲いい人いないかな…。

あ、そもそもクラスでしぃ以外とまともに話したことないや。
新しい友達作るチャンスかも。



「ふぅ…」



どうやらみんな机を運び終わったらしく、いつの間にか山センも起きていた。



「じゃ、近くのヤツとは揉めんなよ~。仲良くしろとは言わねぇからー」



…どこまでもテキトーだな、山セン。




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