彼の溺愛はわかりづらい。


「…じゃあ、その……カエデ公園までの道を知りたくて…」

「そっち行ってあっち行って曲がるんだよ」

「…羽澄、マジで黙れ。頼むから」



コイツが余計なこと言うから、相手も余計に戸惑ってるし。

少しは考えろ、アホ。



「…地図とか、書くか?」

「あ、紙もペンもないです、ごめんなさい…」

「いや、持ち歩いてる方がおかしいから。それは大丈夫。一応聞いただけ」

「…そうですか」



まぁ、俺も持ってないし、羽澄も持ってないんだろうけど。
…どうすんの、これ。



「…案内でもするか?」

「お願いします」

「おー、燈、いっけめーん」

「……羽澄」

「さーせん」



黙れ日本語通じねぇのかアホ…っていうような視線を向けながら名前を呼ぶと、羽澄は「そろそろヤバい」とでも思ったのか、素直に謝ってきた。



「…じゃ、俺はコンビニ行くから。じゃーね、羽澄」

「…マジかよ」




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