彼の溺愛はわかりづらい。
そう言って笑った彼女が、可愛くて。
…「愛しい」と、思ってしまった。
一目惚れなんて、きっと俺のガラじゃないだろうけど。
「…高校、二高受けるんだろ?」
「うん、そうする。ね、再会できたら運命じゃない?」
…運命、か。
それも悪くない…って思ってるなんて、知り合いなんかに知られたら「お前誰だ」って言われそうだけど。
…思ってしまった。
「…そうかもな」
「あー、でも、私バカだからなー。受かるかな」
「頑張れよ。もし同じ高校入れて、再会できたら…そんときは俺が面倒見てやるよ」
「おー、頼もしー」
…本気にしてないだろうけどさ。
それでもいいから。でも、俺は本気だから。
…もう少しで、着いちまうな。
遠回りしたいけど、試合に間に合わなくなるだろうし、コイツも待ち合わせに遅れるかもしれないから、それはやめておこうと思いとどまった。
…本当は、もう少し一緒にいたいけど。
「…俺は受かるよ、絶対」
「なにそれ。どっからきてるの、その自信」
「自信なんかじゃねぇよ。気合いだよ」