彼の溺愛はわかりづらい。







…デートって言っても、何をすればいいのかわからない。
マンガや乙女ゲームでは何回もデートシーンはあったけど。

…現実とは、また違うはずだし。


…確実に詰んだ。



「…なぁ」

「う、うん!」

「すげー勢いだな」



急に声をかけられたから、びっくりして変な声が出てしまう。
半分くらいは海堂のせいなのに、思いっ切り笑われたし。

…超恥ずかしいけど、海堂の笑った顔が可愛かったしかっこよかったから、まぁいや。



「で、どうしたの?」

「とりあえず何か、恋人っぽいことするか?…っていうか俺がしたい」



後半、ちょっと声のボリュームが小さくなったけど、ばっちり聞こえた。

…そんな風に言われたら、「恥ずかしい」なんて思ってる場合じゃないじゃんか。



「…わ、わかった。…じゃあ、手。繋いでみるとか?」

「…あ、ああ」



手をつなぐ。それだけなのに、緊張が一気に膨らんで、どうしたらいいのかわからなくなる。




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