彼の溺愛はわかりづらい。


「うーん、ちょっと違うかな」

「え、うそ。…って、あ。勉強のつまみ用意するんだった。じゃあ…また…話しかけない方がいいかな?」

「なんで。話しかけてよ」

「…世永くんがそう言うなら、そうする」

「ん」



…やっぱり、頭ポンポンは反則だよ、世永くん。
アレだよ、胸キュンときめきどころじゃなくて、ズキューン、ってくるよ、世永くん。

…もう世永くんのことを好きな気持ちはずっと前になくなったはずなのに、たったこれだけでまた好きになっちゃいそうだよ。
…ちょろい奴だもん、私。


心の中でそんなことを思ってるなんて悟られないように、私は少しだけ俯いたまま、台所に行って、素早く飲み物とつまみを用意して、二階の自分の部屋に戻った。



「…あ、来た。…って、どうした?顔赤いけど」

「…っ、」



海堂にまでそう言われてしまう始末。

きっとそうだろうなって、自分でも思ってた。

だけど、海堂が近づいてくるから…余計に体温が上がった気がした。



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