秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「ラヴィ、あのね……そんな男の巣窟に淑女が一人で足を踏み入れてはいけないよ?」

「えっ、あの。そうなんですけど、でもあの庭師さんたちだから大丈夫かなと思って。宿舎には家族で住んでいて、奥様がいる方もいますし、それにファビオもいますし……」

「ファビオと一緒だなんて、余計ダメだ!ファビオは年頃の男だろう!」



ものすごく怒られてる、私。言わなければ良かったと少し後悔をした。

アルフォード様は「父上が言っていた意味が、よぉぉくわかったよ……」と、またぶつぶつと呟いている。

むっ。公爵様、私の何を言っていたのでしょうか。



「取り敢えず、ラヴィ。君は私室に戻るんだ。君の夕餉は、この夜会に出したものと同じものを用意している」

「わっ、本当ですか!それじゃあ、それを持って庭師さんの宿舎に……」

「だから、それはダメだ!私室で食事をするんだ!」

「ええっ、だってカードゲームが……」

「それは、私室でミモザとやればいい」

「えっ。そんな、ミモザさんだって夜会に」

「……今晩、ミモザには君の世話を命じてある。今頃、君が部屋にいなくて焦っている最中だと思うよ」

「えぇっ!」

それは、大変!
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