秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

令嬢らが怒るのも無理はない。言うことは最もだ。ただ気を遣わないでと言いたかったのなら、それだけを簡潔に言えばいいのに。考え無しに余計な事を言うから、こういうことになるのだろう。

目に涙が浮かぶのも自業自得だ。

それに……あながち言葉の綾でもない。私らに投げ掛けた一言は、恐らく本音だ。

聖女見習いである私らに、何らかの嫌悪感を持ってることは間違いない。少なくとも私はそう感じた。



……だが、そこで。このやり取りに異を唱える者がいた。



『貴様らぁぁっ!ローズはそんなつもりはなかったと言っているだろう!何故そのように責め立てる!』



令嬢らを酷く怒鳴りつけたのは、騎士団長の子息であった。どうやらすぐカッとなるらしい。

恫喝同然の対応を受け、一瞬は体を震わす令嬢らだが、そこは堪えて堂々と立ち向かうように彼らを見据えていた。

令嬢らの表情が若干呆れ気味にも思える。恐らく、こんなことは初めてではないのだろう。

騎士団長の次男の一言を皮切りに、彼らは次々と口を開く。

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