秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
(いったい、何が……)
ローズマリー令嬢が私の腕に触れた瞬間、何か焼けるような音がした。まるで、水に油を注いだような音だ。
人間の腕を触っただけで、そんな音が鳴るわけがない。
そして、私は無傷で痛みすら感じなかったが、ローズマリー令嬢は負傷したようだ。
私に触れた部分、右手の指が赤くなっていた。
「痛っ、痛い……な、何するの?」
負傷した指を胸に抱きながら、ローズマリー令嬢は私を警戒心たっぷりの目で見る。
何するのと言われても……返答に困る。何をしたのか、自身もよくわかってないから。
だけど、今はそんな問答をしてる場合ではない。それよりも優先しなくてはいけないことがあるのだ。
彼女はさておいて、私は地に倒れた想う人のところへ向かう。
「アルフォード様!……アルフォード様!」
禍々しいてんとう虫を払っていたら、急に苦しみながら倒れたのだ。何があったのか、どうして倒れたのかということよりも、無事なのか、ただそれだけが心配だった。
「アルフォード様!」
傍に近付き、腰を下ろして、倒れているアルフォード様の肩を揺する。