秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
刺激で「うっ……」と、呻いた声を上げながら苦悶の表情を見せるが、見守っているとやがて少しずつ。薄っすらと目を開けたのだった。
「ラ……ヴィ……?」
「アルフォード様!大丈夫ですか?」
「ラヴィ……」
返答があった。無事だ。虚ろであるが、私を見上げる目に安堵する。
目付きが、あの冷たいではなく……いつもの柔らかい視線だからだ。
しかも、私を『おまえ』ではなく、名前で呼んでくれた。
行き場を求めるかのように、徐に挙がっているアルフォード様の手は震えている。
その手をグッと握って、温かみを感じてはまた安堵してしまうのだった。
(よかった……)
……と、思ったのも束の間。
アルフォード様との一連の経過を観察している憎々し気な視線に、私は気付かず。
「……あら?貴女」
気付くと、ローズマリー令嬢もこちらに近付いてきていた。
私を見て、何かに気付いたといった表情だ。
「……はい?」
「貴女……どこかで見たことあると思ったら。王都の学園祭で、アゼリアさんらと一緒にいた、聖女見習いの子ね?」
「は……はい」