秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「何故、ここにいらっしゃるのかしら……」

「……」


アルフォード様は気付かなかったのに、ローズマリー令嬢は気付いた。私が王都の学園祭に来ていたことに。

あの奇行の現場に、居合わせていたことにも気付いているだろう。

……だから?という今更な心情ではあるけど。

何故ここに、という一言が勘に触る。私がどこに居ようが、ローズマリー令嬢には関係ないだろう。

私もすっかり敵対心を持ってしまい、目を細めて無言で彼女に視線を送る。

彼女はも何か言いたげに、私と倒れているアルフォード様を交互に見ているが。

低い声でボソッと呟いた。



「……なるほど。そういうことだったのね」



何が……?

と、口から言葉が出そうになったが……その時、私は周囲の異変に気付いてハッと我に返った。

確認のため、辺りをキョロキョロと見回してみる。



(……いない)



いない。いなくなったのだ。

あれだけこの辺りをふわふわと浮かんでいたてんとう虫らが、いつのまにか、ひとつ残らず消え去っていたのだった。

……あの時、王太子殿下や貴族令息らと面会した時と同じく。

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