秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

美女とは遠い、恐ろしい鬼の形相で小声でぶつぶつと呟いているよう。

わけのわからない単語を口にするその様に、どことなく恐怖を感じてしまい、ローズマリー令嬢の奇妙な様子を黙って見守るしかなかったのである。

はーれむるーと?ばぐ?……なんか、私の知らない世界の言葉?ひょっとして、古代語の呪文?

運営って何?何か催しを担当する者に文句をつけてるのだろうか。

ローズマリー令嬢の独語を聞けば聞くほど、未知の世界に足を突っ込んでしまうような気がして、恐ろしくなってきてしまった。

やだ、何この人。わからないし怖い……。



恐怖を胸に抱えながらローズマリー令嬢の様子をしばし見守る。

すると突然、ローズマリー令嬢がハッとして表情がコロッと変わった。

どうしたのかと思いきや、向こうの方角から複数の足音が聞こえてくる。

顔を上げてみると……この屋敷の主の登場だった。



「何の騒ぎだ?こんなところで」



ルビネスタ公爵様が、夫人のサルビア様と護衛を数名引き連れて、私たちの前に現れたのだった。

サルビア様の傍にはミモザさんがいる。この騒ぎを受けて、二人を呼びに行ったのだろう。
< 164 / 399 >

この作品をシェア

pagetop