秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「公爵さまっ……」
「ルビネスタ公爵、サルビア夫人、ご無沙汰しております」
この事態の助けを求めようと、公爵様を呼ぼうとしたのだが。
被せて私の声を掻き消すかの如く、ずいっと前に出て公爵様に優雅にご挨拶したのはローズマリー令嬢だった。
「これはこれは、トルコバス侯爵令嬢」
彼女へ簡単に挨拶を返した公爵様は、辺りをゆっくりと見回している。
自身の子息が意識を失って倒れている姿、そこに寄り添っている私、その場にいるローズマリー令嬢、実はそこでただずっと立っているファビオの姿を目に入れていた。
感情を見せずに、淡々と。
そして、この事態を訊ねる一言をもう一度発した。
「……これは、何の騒ぎだ」
「ルビネスタ公爵様、ご報告したいことが御座います!」
公爵様に報告を、と口を開こうとしたのだが、私より先に、更にずいっと前に出たのは、ローズマリー令嬢だった。
また、先を越された!
……だが、ローズマリー令嬢の口から飛び出したのは、独りよがりの自分優位な発言だったりする。