秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
いや、見方によれば間違ってはいないのだが。
しかし、これを黙って「はい、そうです」だなんて言ってられるか。私にも言い分はある。
ローズマリー令嬢の悲劇の訴え劇場では、私が完璧な悪者となっていることに、憤りを感じずにはいられない。
自分のしたことを棚に上げて、何をいけしゃあしゃあと!
このローズマリー令嬢の独壇場に割り入っていかねば、とは思い、口を開こうとするが……。
「ルビネスタ公爵、彼女は危険です!神殿の聖女見習いがメイド姿でこの夜会に紛れていたなんて……!」
「なっ……」
「これはもう、神殿が何かを企んでいるに違いないわ!……ルビネスタ公爵様!」
そこまで、話が飛躍する?!
私のこの行動から、神殿の陰謀論に発展するなんて想定の範囲外で、ギョッとした。
いや、ガクッときた。が、正しいかもしれない。
なんて想像力!……確かに、ローズマリー令嬢は王都での発言といい、神殿に対してあまり良い印象を持ってないようだったけど。
私、神殿の刺客なの?……ち、ちょっと!
まさか、こんな発言を堂々となさるだなんて!