秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「そこにいるメイド姿の、神殿の聖女見習いが私たちの目の前に急に現れて、こんなことにっ……!」

「は……」

「彼女が触れた途端アルは倒れて、制止しようとした私も手がっ……!」

公爵様を目の前にして、ローズマリー令嬢の態度がコロリと変わった。

さっきの傲慢な上から目線とは打って変わって、現在は目をうるうるとさせて、怯えた様子を見せている。

負傷した手を見せつけて、やられた、被害者だと言わんばかりの態度だ。



そんな態度早変わりの彼女に、私は呆気に取られていた。

……いや、ローズマリー令嬢の目線からしたら、言ってることは間違ってはいない。

私が、休憩室に入ろうとする二人の目の前に突然現れて引き止め、アルフォード様からてんとう虫を追い払ったら、何故だかアルフォード様が倒れてしまった。

そして、何故だか?私に触ったことでローズマリー令嬢の指先が負傷したのだ。

休憩室に入ろうとしたことなど、都合の悪い部分がいろいろと端折られているが、ローズマリー令嬢の言ってることは、大体は事実。


……って、これ。

私が加害者という話になってる……!
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