秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「ぬっ……それは」

淡々と説明を述べるファビオに、公爵様は言葉を詰まらせているよう。



私は……何の話をされているのか、全くわからない。私の話をしているはずなのに、何も。

現在の状況がつかめず、不安になりながらも黙って二人の話の流れを見守っているしかなかった。



「……で、今朝。我が主人から書簡が公爵様の元にも届いたかい?俺が受け取ったものと同じ内容のものだと思うけど」

「……届いた」

「王都ではカタが付きつつある。神殿での毒殺犯を確保し、侯爵領の調査も終わった。ヤツらを吊し上げて糾弾できる手筈は整った」

「……」

えっ、と声が出そうになった。

ファビオは何故、知ってるの?神殿での毒殺の話を。

私からは一度もその話をしたことがない。この神殿での冤罪は、公爵様ともちゃんと話をした事がなかった。

公爵様が何も言ってこないのは、恐らくお兄様から聞いているのだと思ったから。

そして、私は聞き逃さなかった。

毒殺犯を確保した……?



それに、侯爵領の調査、糾弾とは何か。

まだまだ私にはわからないことばかりで、不安は依然続行、変な胸の高鳴りを抱えながらも二人の話を黙って聞いているしかなかった。
< 176 / 399 >

この作品をシェア

pagetop