秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「まあまあ、そんな大それたモノではありませんよー?……って、そっちこそ何者だい?鉄仮面のミモザ。こんな危険な道中に着いてくる。まさか、ただの侍女じゃないよねー?」
「えっ!」
思わず声をあげて、ミモザさんの方を見てしまった。
当の本人は、感情が表に出ることはなく、淡々としているが。鉄仮面、なるほど。
すると、ミモザさんは口を開く。
「……私の生家、コランダム子爵家は、表向きはルビネスタ公爵領と隣り合わせの領地を持つ北部の一貴族ですが……実は、代々ルビネスタ公爵家に仕える暗部の家系です。もちろん、私も公爵閣下、夫人、公子様に仕える身の者です」
ミモザさんも……暗部の人!
これは、えらいことだ。
私の向かいに座る庭師見習いも、隣に座る侍女も、実は暗部の者。
暗部の方々に囲まれている……!
「ちなみに、馬番のポンセも御者のマクラも、執事のバモスさんもみんなみんな暗部の人?」
「というか、貴方が共に過ごした庭師らも含めて、公爵邸の使用人の三分のニは皆、暗部の者です」
「やっぱり?道理で過ごしやすかったわけだ。みんな同業だから」
……なんですって!