秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
だが、ふーんと聞き流されると思いきや。意外な反応を示したのが、隣に座る侍女兼暗部の御方であり。
「冤罪?追放?ラヴィ様っ、そのような辛い目に遭っていたなんて……!あぁ、おいたわしい……」
口元を覆い、信じられないと言わんばかりに首を横に振ったのは、ファビオ曰く鉄仮面のミモザさんだった。
え。どして、そこで感情出ちゃうの。
私、そこまでおいたわしいこと言っただろうか。
「いや、でも、それは間違いだったというか、相手を欺くための一芝居だったようで、私もそこは理解しましたし……」
「いえ!間違いだろうが一芝居だろうが、ほんのひとときでもラヴィ様を辛い目に遭わせた大神殿、何様のつもりですか!公爵邸の使用人一同、許しませんよ、そんなの!」
「え……」
何故。
……だが、爆弾発言を耳に入れてしまうのは、間もなく。
首を傾げていると、ファビオが「わはは」と笑っている。
「ミモザ怒ってるぅー。ラヴィが不当な扱い受けたこと、そんなに許せんかね」
「許せませんよ!未来のルビネスタ公爵夫人に、なんてことを!」
「え。ええっ!未来の公爵夫人……誰が?!」