秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない



「……トルコバス侯爵領に『アフロディーテの泉』なんて、あるんですか?」

大聖女様にこっそり耳打ちする。

もちろん、首を横に振って「名前の無い大きな貯水池はありますが……」と、ボソッと残念そうに呟いていた。




ーー話に戻るが。

女神アフロディーテの力を手に入れたことで発覚したことがある。

実は……ローズマリーの母が女神アフロディーテの末裔と言われるトルコバス侯爵家で働いていたメイドで、現侯爵とはかつて愛を交わし合った仲だったと。

ローズマリーは、現侯爵の落胤だったのだ。

トルコバス侯爵家の所属魔術師が、泉にてローズマリーがアフロディーテの力を授かる場面を偶然にも目撃する。

所属魔術師はすぐ様ローズマリーを現侯爵の元へ連れて行く。父と娘が感動の再会を果たし、トルコバス侯爵家に迎え入れられ、貴族学園に入学を果たしたところで、物語はスタートするのだ。





「……」

聞きたいことは、たくさんある。

トルコバス侯爵家が、女神アフロディーテの末裔?

本当ですか、大聖女様……と、大聖女様の顔色を伺うが。

……大聖女様の目が、死んだ魚のようです。

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