秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「何故、そんなことを口走っていたのか、俺自身もわからないよ……あの時は俺もどうかしてたんだ。何故、君の発言を諌めることが出来なかったのか。これは、俺自身の罪だ」

アルフォード様の表情は歪んだ。悲しんでいて悔やんでいるような……あの時、ラベンダー畑で見せた表情と同じものだ。

だが、ローズマリー令嬢は驚愕の声を上げる。

「はあぁぁっ?!……こほん。ま、待って!アルは私の言ってることが嘘だと言いたいの?私が間違ってるって言うの?!」

「……そうだよ」

「ちょっ、待ってよ!そんな簡単に態度が変わるなんて!……私のこと、護るって言ってくれたよね?愛してるって、私に何もかも捧げるって言ってくれたよね?……あれは嘘だったって言うの?……アル!」

「……」

ローズマリー令嬢が一方的に責め立て、アルフォード様が苦しそうに黙り込むという絵になっている。

『言ってくれたよね?!』と、縋るように必死に確認するローズマリー令嬢だったが、アルフォード様は当時、【魅了】の手の中だったのだ。

【邪気】の力でそんな自分に都合の良いことだけを口走らせたのは、ローズマリー令嬢自身ではないか。
< 329 / 399 >

この作品をシェア

pagetop