秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

どれだけ連れてきたのか?と思いきや。先程のフェビルディストで倒れた男性らが、一定時間を過ぎると、再び体を起こしては復活し、再び次々と襲い掛かってくるのだ。

まるでアンデッドのように。死んでもいないのに?……いや、彼らは生きた人間だ。

恐らく、精神系統の支配が相当強く、体にダメージがあろうが、こうして立ち上がるように【魅了】の力で仕向けられているのだろう。

このままでは消耗戦となり、この操られている男性らの身体も参ってしまう。



「ウォーキングデッド……?」と呟いて苦笑いするファビオ。大聖女様を護衛しながらも、襲い掛かってくる敵を相手をする。

「うーん。フェビルディストだけじゃこうなるのも仕方ないなぁ……ん?」

ぼやきながらも剪定バサミや蹴りで一通り敵を撃退したファビオだったが。

「およ?」

ふと、首を傾げてとある一方向をじっと見つめていた。

ファビオは何を見ているのだろうか。



「なぁ、ラヴィ」

「……へっ?」

「あの男、なした?」

「えっ?」



なした?とは、何か。

疑問を持ちながら、ファビオの指差す方向を見る。


(あ。……あぁっ!)
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