秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

更に、【魅了】で従えた男たちを連れての襲撃。証明する手間もなく、証拠が出揃ってしまった。

禁忌の邪気契約に手を出し、王族を【魅了】で操ろうとした。という重罪の疑惑の証拠が。

もう、言い訳もできまい。



国王陛下、王太子夫妻、筆頭公爵らをはじめとする多くの貴族の前で。神殿側からは大聖女様や神官長、聖騎士団が見ている前で。

令嬢不在にて単身現れたトルコバス侯爵は何を語るのか。

……それは、想像とは全く違った反応だったりする。



『……私は知らない!知らなかったんだ、まさかローズマリーが魔術師団の指南で禁忌の邪気契約を行ったなど!……本当に知らなかったのですぅぅぅっ!』



そう叫びながら、観衆の前で土下座をし、おいおいと咽び泣くトルコバス侯爵。

しらばっくれるつもりなのか?……と、思いきや。侯爵の言い分は本当らしい。

実際、トルコバス侯爵家の調査に踏み入ったランティスお兄様と聖騎士団の話によると、立ち会いをしたトルコバス侯爵ほ、調査前、『うちの魔術師団が禁忌に手を出すはずはない!』と、自信満々だったのだが、調査を始め証拠の術陣や記録が出てくると、『そんな……!』と、ショックを受けていたようだ。
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