秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

……つまり、トルコバス侯爵の知らぬところで、侯爵家の魔術師団の一人の独断により、邪気契約が行われたというのだ。



ローズマリー令嬢は、トルコバス侯爵とそのお気に入りだった娼婦との間に生まれた子。落胤であることには間違いなかった。

娼婦が子を授かった時点で、侯爵は秘密裏に娼婦を身請けというカタチで責任を取り、僅かのお金を与えて市井に密かにこっそりと住まわせていたという。

その秘密を耳にした魔術師団の一人が、興味本位でその落胤を見つけたところ……その娘は、誰もが目を見張るほどの美少女だった。

この女は、使える。上手くいけば、王族の誰かに見染められて食い込ませ、トルコバス侯爵家が王族の縁戚となることが出来るのでは、と考えたそうだ。

トルコバス侯爵家は貴族派で敵も多い。でも、王族の縁戚……王太子妃にでもなればらそんな連中を黙らせることが出来る。

この魔術師は、トルコバス侯爵家の傍系の子爵令息であり、この功績を以ってすれば、自分も成り上がることが出来るのではと考えたようだ。野心家だったよう。
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