秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「ローズは友人だ。それ以上でも以下でもない」
だが、私の思考をぶった斬るかの如く、はっきりと告げられる。バッサリやられました。
そう告げたアルフォード様の目は、語気同様更にジトリと不機嫌なものになっていた。
その不機嫌オーラに圧倒され、「はい、そうですか……」と、小さくなるしかない。
何か知らないけど、怒られた。しょんぼりしてしまう。
「す、すみません……」
そう呟いて俯きかけた、その時。
ふわりと頭を撫でられる。
温かい温度を感じると、アルフォード様の眼福ともいえる柔らかい笑みが視界に入った。
「……でも、ラヴィ。俺にとって君は、『友人』という括りでは済まない存在なんだ。俺にとっては一番大切で……君が一緒なら、この先のどんな辛いことも追い風に変えていけるような気がする」
その紫水晶のような輝きを放つ、柔らかい眼差しに吸い込まれていくような気がして。
目が離せなくなる。
……ああ、そんなお言葉。私には勿体無い。そう思っているはずなのに。
分相応ではないと、わかってるはずなのに。
「君が一緒なら、大嫌いな日も大好きな日でも全て愛していたい。そう、思えるんだ」
すごく、嬉しい。