秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
長年会えない期間があっても、ふと思い出しては想い慕っていた。
彼は今、何しているのだろう。どんな姿に成長したのだろうなんて、想像しては顔を綻ばせていた。
王都での噂を耳にして、実際愚行を目にしたその衝撃に動揺したこともあったけど。
忘れられていて傷付きもしたけど。
でも……それでも、忘れることが出来ず、想い慕い続けてきたこの御方に、こんな言葉を掛けられるだなんて。
夢じゃないだろうか。
「俺には君が必要なんだ。急にこんなことを言われて驚くだろうけど……」
「お、驚くに決まっているじゃないですかっ!ま、まさかっ、アルフォード様に、こんなお言葉を頂けるだなんてっ!」
「ラヴィ……」
「ずっと、ずっと想い慕っていた人に、必要とされるだなんて!求婚してもらえるだのなんて!……言っときますけど、私の方がずっと!先に、アルフォード様のことを好きになったんですからねっ?!」
「……え?」
「私、初めて会ったその日から、アルフォード様に恋していたんですから!ずーっと、想っていたんですからね!私の方が先ですよ!」
「って、いつから?」
「私たちが初めて会ったその日ですよ!もう何年も前です!絶対私の方が先です」
「……」