秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
いえいえ、私に告げたその一言がただお隣歩いてお散歩をする意味ではないことぐらい、わかっておりますよ!
だけど、アルフォード様ほどの御方が、何故?こんなしがない聖女見習いに突然求婚し出すのかが理解出来なくて。
それに……。
「わ、私……アルフォード様はてっきり、ローズマリー令嬢に想いを向けてると思ってましたから……」
「はっ?!ローズ?!な、何で!」
「えっ?す、すみません!」
「な、あ……こちらこそ、大声を出してすまない」
「え、ええ……」
びっくりした。そんなにムキになって否定されるとは思わなくて、つい謝ってしまった。
でも、私がそんなことを思ってしまったのは、アルフォード様が神殿に駆け付けた時のローズマリー令嬢を説得して救おうとした態度がきっかけだ。
《ローズ……君は、とても素敵な女性だ》
《君のことは大切に思ってるよ》
精神系統を支配されるという非道な仕打ちを受けたと知っても、彼女を憎むどころか救おうとした。
【魅了】で虜にさせられていたとはいえ、アルフォード様はローズマリー令嬢に対して特別な思いを抱いてるのでは?と、感じていた。