秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「本当に。何かにつけて、外出したがるんだから、父上は。ご自分の立場をわかってほしいものだ」

そう呟いて、公子様はごねる実父の姿を見守ってはため息をついていた。相当苦労してるのか。

確かにルビネスタ公爵様は、王都に来るたびに食事に連れ出してくれたりと、精力的に行動しているが、それは公子様をはじめ様々な人らの犠牲のもとに成り立っている場合もあることを、今ここで知った。

大変なのですね……。



「では、行きましょうか。ラヴェンダー嬢」



そして、私の目の前には、いつの間にか用意された馬車がある。

加えて、差し出された公子様の手。

こ、これは……馬車に乗るために手を貸してくれるという、ことでしょうか?

貴族令嬢としてのマナーはある程度勉強してるものの、神殿という身分関係ナシの女だらけの場で生活していた私。

男性からのエスコートなど、初めてだ。

しかも、お相手は胸に秘めていた憧れの公子様。

ガチガチで緊張しながらも、その手を取る。震えていたため、不審に思われなかっただろうか。あと、動き変とか。

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