イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

干渉しあわない、というのは郁人が言い出した条件だ。
男女のふれあいは無し、は私が出した条件。

どちらも、自然と守られなくなってしまった条件だから、ここは一度修正案を出すべきじゃないだろうか。
条件の中にある、『干渉』という言葉にあまり良いイメージを持っていなかったのだけれど、こうして心配してもらったり気遣ってもらったりすることも干渉のうちに入るのなら、悪いものではないな、と思うようになった。

けれどそれを、私から言い出すのも、内容が内容だけになんとなく気恥ずかしい。郁人の方から、契約内容の変更を提案してくれたら言いやすいのだけど。


午後から、郁人は営業と視察に出ていき、言っていたとおり定時には戻らなかった。
約束どおり河内さんとふたりで食事に出かける。彼女は、以前とはまた違った、今度は赤レンガの可愛らしい建物のお店に連れてきてくれた。


「河内さんは、ほんとにいろんなお店を知ってるのね」
「そうですね、外食大好きなんで」
「……その割に、細い」
「そりゃ、美味しいものを食べるために普段は気合いれて制限してるんで」


おお……これが女子力というやつだろうか。
女子って大変だなあ。

彼女の話を聞いていると、たびたびそう思う。
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