イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

店内の雰囲気も、壁は赤レンガで丸いテーブルにタータンチェックのターブルクロスがかけられた、可愛らしい雰囲気だ。
昔懐かしい洋食屋のイメージで、メニューもハンバーグプレートやオムライス、スパゲッティのセットなど。写真付きのリストが綺麗にパウチされている。

お酒はワインやカクテル、外国産のビールなどが中心だ。


……あんまり飲まないようにって注意はされたけど。


ワインの種類が豊富で興味を引かれてしまい、一杯だけのつもりでグラスワインをオーダーしてしまった。


「で、で。ぶっちゃけ、新婚生活ってどうなんです?」


食事が運ばれてきて、グラスワインも揃ったところで早速彼女の方が興味津々尋ねてくる。
どうやらこの話がしたかったらしい。


「いや、どう……と言われても」
「絶対仲悪いと思われてたおふたりが、今やオフィスで一緒にお弁当食べちゃう仲良し夫婦ですもんね。わかんないもんですよねえ」


確かにその通りで、自分でもたまに思い出して、信じられないような気持ちになることがある。


「歩実さんの印象もちょっと変わりましたけど、何より佐々木さんがちょっと変わったなって思うんです」
「……そ、そう思う?」


私の中でも、結婚してから郁人の印象はがらりと変わった。それは単に私が彼をよく知らなかっただけかもしれないと思っていたけれど、どうやら河内さんから見ても変わったように見えるらしい。どう違って見えるのか、もっと聞いてみたくて、テーブルに身を乗り出した。

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