イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

「……私のとこに帰ってきてくれるなら、それでいいので」


上っ面の、恋愛小説で読んだようなそんなセリフを言ってみた。


別に、嘘ではない。ただ、ニュアンス的に『帰る場所は私のところなのよ』ってかっこいいものではなくて『帰ってきてくれさえすれば離れなくて済む』という卑屈極まりないニュアンスだが。


河内さんは、どっちの意味で解釈したのだろう?
聞いた途端に、愕然とした表情で固まった後。


「……古っ!」


と言われてしまった。


「古いですよその考え! 浮気する男は成敗!」


とうとう、浮気という言葉が河内さんの口から出てしまった。その単語、聞きたくないから避けていたというのに。


「絶対、問い詰めた方がいいです」


そう言うと、彼女は鼻息を荒くしながらサンドイッチに噛り付いた。

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