イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「おかえりなさい。話があって」
「話?」
ダイニングの椅子にビジネスバッグを置き、いつもならそのままキッチンに向かいコーヒーを淹れに行く彼だが今はまっすぐ私の目の前まで来た。
その彼に、私はクリアファイルを彼に差し出す。
「私たちの結婚について」
ファイルの中身を取り出してそれが結婚契約書だとわかると、郁人は訝し気に再び私を見つめた。
「一体急に、何の話だ」
「いくつかの契約違反があります。今一度契約内容の再考を要求します」
これは、必要なこと。契約に関することなのだからと自分に言い聞かせたせいか、必要以上に固い声での宣言になってしまった。