イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「歩実、亀田課長」
少し会話が途切れた時だ。思いがけず、知った声で名前を呼ばれて驚いてそちらを向くと、外出していた郁人が近づいてくるところだった。
「お疲れ様です」
「ああ、お疲れさん。奥さんを探しに来たのかな」
いやそんなわけない、普段社内に居たって別々に行動してるし。案の定、郁人も真面目な顔で答えた。
「いえ。外回りから帰社しようとしたら姿が見えたので」
「そうかそうか。私はもう終わったから、ふたりでゆっくりしてから戻りなさい」
亀爺は余計な気を使ったのか、ぱぱっと食べ終えたお弁当を片付けて、先に戻ってしまった。