イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
残されたのは、膝にサンドイッチの袋を乗せて片手にコーヒーを持ってベンチに座っている私と、郁人だけ。どうするのかなと思ったら、徐に隣に座った。まだ食べきれていない私を残していくのは不憫に思ったのだろうか。案外優しいとこがある。
「えっと、お昼は?」
「軽く食べた」
「何を?」
「コンビニのおにぎり」
なぜだ。もっとちゃんと食べたらいいのに、時間がなかったのだろうか。
「……良かったら、一切れ食べる?」
三切れ残っているうちのひとつを手に取って差し出すと、彼は一度躊躇った。
「歩実の昼飯だろう」
「いいよ、ちょっとしつこいかなって思ってたくらいだし」
もう一度、「ん」と差し出すと、今度は受け取った。